#日田 小鹿田焼

日田の皿山、
小鹿田焼の里で、はじめて
火が入った登り釜を見ました。

思わず手を合わせたくなるような
畏れ、崇めたくなる、火の姿でした。

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登り窯

京都の五条坂では、
昭和46年に、煙害問題から、使用禁止となったといいます。


なので、寛次郎記念館や、藤平窯の登り釜を
見学したことは何度もあれど、
それに火が入っているところは
一度も見たことがありませんでした。

道具は使われてこそ。
登り窯は火が入ってこそ。

「美しい……」

山間に上がる煙を見ながら、
せつせつと思う秋の日でした。


カメラマンは火の前で撮影していたので
雑誌には、もっとリアルな火の姿が
掲載されるのではないかと思います。


小鹿田焼は、国の重要無形文化財保持団体。
作品ではなく、そのすべての営みが、
重要文化財に指定されています。

山から土を採取し、それを陶土にする全行程を
機械を使わず、手仕事で行っている集落は
全国でも、ここだけだとか。

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小鹿田の名物。
唐臼というんだそうです。
せせらぎの音とともに、
小さな川の水がフネに一杯になると、
シーソーのように、ぎぃー、バタンと、
臼の上に落ち、
少しずつ土を搗いていく。

その木と水と大地の音の呼応は、
「残したい日本の音風景百選」(環境庁選定)に選ばれています。
搗き上がるのに、2週間、要するんだそうですよ。


唐臼は雨の日も風の日も
水が低きに流れることを止めないかぎり、
土を搗きつづける。
24時間 365日。
それを思うだけで、
ちょっと感動。

今年の豪雨では、この重たいフネ(木をまるごとくりぬいている)が
下流へ流れたところもあったという。
(幸い、見つかり、また使っているそうです)

そうやって、
細かく搗いた土(パウダーのよう)を水槽に入れ、攪拌。
ゴミや砂を取り除き、
その水分を「おろ」で抜き、乾燥。
ここまでの過程に一ヶ月かかるのだそう。


暮しが仕事 仕事が暮し

河井寛次郎さんの言葉を思い重ねる私でした。
小鹿田焼が全国に知られるようになったのは、
寛次郎さんたちの民藝運動のおかげ。
柳宗悦、バーナード・リーチ、河井寛次郎、浜田庄司、そして棟方志功などが
訪れ、滞在したのだという。
わかる気がします。
だって、民藝の心、そのものがここにはあるもの。


小鹿田焼は

機械を使わない
家族だけで営む
窯や作家名を入れない
生活の器以外は作らない
絵付けをしない
そんな暗黙のルールがあるようです。


私が小鹿田焼の里を訪れるのは、今回で2度目。
若き陶工、坂本創さんに話を聞きました。
その様子は、雑誌でご覧ください。


■おまけ■

日田から小鹿田焼の里(皿山)までは
車で20分くらいかかるんですが、
その途中で、
こんな美しい光景に出会いました。
#日田   小鹿田焼_b0199526_15112987.jpg


頭を垂れる稲のそばを彩る彼岸花。
農作業中の方にお話を伺ったなら
「こんな小さな棚田でも、何とか稲作を続けていられるのは、助成金のおかげ。
そのお返しに、道路からの景観をよくしようと
みんなで彼岸花を植えたら、こんなに広がってくれた」
とのこと。

美しい眺めです。
ありがとうございます。
by keiko-aso | 2012-10-10 15:12 |

京都ロンドンから琵琶湖のほとりへ??セルフリノベーションの家


by keiko-aso
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